「トランスジェンダー」という言葉をお聞きになったことがありますか?
私は最近担当した物件ではじめて知りました。
これからサインをご提案、製作する上で関わりが増えてくるのかなと感じたので、今回は「トランスジェンダーピクト」についてまとめました。
目次
- トランスジェンダーとは
- トランスジェンダーの現状
- トランスジェンダーピクト
- 賛否両論のピクト表示
- まとめ
1, トランスジェンダーとは
「トランスジェンダー」とは何でしょうか。
トランスジェンダー(英語 Transgender、ラテン語で「乗り越える」や「逆側に行く」を意味する「トランス」と、英語で「性」を意味する「ジェンダー」の合成語)とは、一般に (常にではない) 生まれたときからもっているとされる、伝統的に社会で認識されている役割と同様の規範的な性役割に収まらない傾向を含む、あらゆる個人および行動、グループに当てられる一般用語である。近年の国際的な人権に関する文書においては世界的に承認された普遍的定義はもたないものの、性同一性が出生時に割当てられた性別と対応しない状態を意味する言葉として用いられる。
Wikipediaより引用
2015年4月、渋谷区や世田谷区で同性パートナーシップ証明制度が施行されたこともあり、LGBTへの社会的な関心が高まっています。
2, トランスジェンダーの現状
衛生陶器のメーカー「LIXIL」とNPO法人「虹色ダイバーシティ」が共同で行った調査によると、トランスジェンダーの64.9%が職場や学校のトイレの利用で困ったりストレスを感じているとの結果が出ました。
またトイレを我慢することでぼうこう炎などの排せつ障害を患うようになった人も25.4%に上るという結果が明らかになったそうです。
「多目的トイレ」や「だれでもトイレ」などの利用なら問題ないのでは?と思いがちですが、多目的トイレは男女それぞれの区分け内に配置されていることがあったり、「車イス使用者や身障者に悪い気がする」「使用後ににらまれたことがある」という声もあり、使用をためらってしまう方もいらっしゃるようです。
またトランスジェンダーの方がトイレ利用の際に差別的な処遇を受けたとして、損害賠償を求める訴訟に発展するケースもありました。
そのような事例を受けて、トランスジェンダーに配慮したトイレを設備する自治体が増えてきています。
3, トランスジェンダーピクト
トランスジェンダー対応のトイレを表すのに、トランスジェンダーピクトなるものが見られるようになってきました。
フジタでもトイレピクトに関わる仕事をしているので、物件で提案してほしいというご要望がきています。
某市役所の提案物件
某小学校の提案物件
これといって決まったピクトはないそうなのですが、色はLGBTの象徴とも言われる6色のレインボーカラーが使用されることがあります。
このレインボーカラー、元々は8色だったのですが、レインボーフラッグ(LGBTの社会運動を象徴する旗)を製作する時に、大量生産をするとなると6色までしか対応できないという工場設備の問題があり、今では6色のレインボーカラーが定着するようになったそうです。
またピクトの形についても、男女のピクトを半身ずつつなぎ合わせたピクトが使われることもあります。
これらのピクトは現在、大阪市の淀川区役所や東京の渋谷区役所などにも導入されており、民間施設では京都のホテルグランヴィアのロビー階のトイレや羽田空港のラウンジに導入されています。
また2020年東京パラリンピックの会場にも男女共用のトイレが設置されるそうで、ますますトランスジェンダーピクトに関心が高まっていくと予想できます。
4, 賛否両論のピクト表示
誰もが使いやすいように配慮されたトランスジェンダーピクトですが、多様な意見がでてきました。
「嬉しい」や「すてきなデザイン」という喜びの声もある一方で、違和感を感じた人たちの声もあったのです。
「謎の生物(キメラ)感が半端ない」
「マジョリティ(多数派)目線になってしまっている」
「ピクトが表示されているトイレを使うことで、カミングアウトするようで嫌だ」
「わざわざ表示してもらわなくていい」
「あまり使いたくない」
など、ネット上で批判する声が多々上がっているようです。
すべての人が納得する正解がない難しい問題ですが、様々な考えが今も模索されています。
「どんな性別でも使えるトイレマーク」のデザインコンペを開催するなど、より多くの人にトランスジェンダーに関心を持ってもらい、多様性を受け入れる社会づくりにつながる活動が行われています。
5,まとめ
いかがでしたか?
今回はトランスジェンダーピクトについてまとめました。
実は先日 地元京都の某デパートのトイレにて、私も虹色マークを発見しました。
私は仕事で知る機会があったのでトランスジェンダー対応トイレの印だとわかりましたが、まだまだ認知度が低いと思うのでこれだけで伝わるのかな?といった疑問を持ちました。
とはいえ、身近にも増えてきていることが分かったのでこれから取り扱うことも増えてきそうだと感じます。
表示に関する賛否両論はありますが、誰もが心地よく使えるトイレが増えてくれるといいなと思います。