最近はグローバル化が進み、至る所に日本語と併せて外国語表記がされるサインが増えてきました。
例えば、駅構内の誘導サイン。〈日本語・英語・中国語・ハングル〉の4カ国語が表記されています。
フジタでも、サインのご依頼を受けた際に「日本語と英語の両方を載せたい」という要望を頂く事も多く、スペルミス等に気をつけながら原稿やデータの作成をしております。
今回は、そんな〈サインの欧文フォント〉について雑学をお話していきます!
〈和文フォントについての記事はコチラ:誰もが見やすい!と感じる サインに適したフォント〉
目次
- 他国の欧文フォント
- 日本でもみられる欧文フォント
- 欧文書体への課題
- まとめ
1. 他国の欧文フォント
海外にもサインはたくさん設置されています。
特に〈視認性が高く、サインに適しているフォント〉を使用する事を大切にしているようです。
そのひとつとして挙げられるのは「Helvetica(ヘルベチカ)」です。
ドキュメンタリー映画ができるほど有名なこのフォントは、1957年にスイスでつくられました。
現在では、50数種類もファミリー(フォントの太さや長体・イタリック等の種類)があり、
様々な場所で使用されています。
字間を詰めても広げてもそれなりに見えるヘルベチカですが、多様されていることから
使用を避けるデザイナーもいます。私もその1人・・・笑
続いては「Frutiger(フルティガー)」です。
こちらも多く使われているフォントで、「Futura(フーツラ)」のように幾何学的ではなく、
オーソドックスのように見えてとてもデザイン性の高いフォントです。
ふところを広くとった設計のため、遠くから観た場合・視力が低い方への識別性が高いのが特徴です。
スッキリしていてみやすい!のに、なんか癖があって可愛くて私の好きなフォントのひとつです。
フルティガーを作った〈フルティガーさん〉は、「Avenir(アベニール)」というフォントも制作しています。
それも私の大好きなフォントで、フーツラとフルティガーを足して2で割ったような感じ。
かっこよさと親しみやすさがあり、なおかつ読みやすくてお気に入りです。
2. 日本でも見られる欧文フォント
和文フォントにはアルファベットも搭載されています。
そのため「会議室A」など、日本語+アルファベットの際は和文フォントに搭載されているアルファベットを使用すると、文字の印象も合っているので好ましいかと思います。
ですが、「講義室」「Lecture room」のように日本語と英単語が独立している場合は、和文フォントの印象に近い欧文フォントを使用するのが好ましいです。
欧文フォントは常にアルファベットに触れている海外のプロが制作したフォントです。先程紹介したような識別性の高い欧文フォントを選ぶ方が、サインを見る人を考えていると言えるでしょう。
さらに、極力文字幅をいじらず、視認性を保持した状態での使用が望ましいですね。
さてさて、ちなみに上記で紹介した「Frutiger(フルティガー)」は、日本のサインにも使用されています。
代表的なのは〈東京メトロ〉。
欧文フォントは「Frutiger」、和文フォントは「新ゴ」です。
新ゴも、ふところがおおきくて視認性が高いです。
さらに、ヘルベチカは〈JR〉で使用されています。
メトロの抜け感とは一変して、JRのほうはかなり主張の強いイメージがありますね。
どちらが良い悪いという話ではありませんが、視認性は保っていきたい所です。
(画像引用:東京の鉄道会社が何かと使用しているフォントまとめ)
3. 欧文書体への課題
このように、日本でもよくみられるようになった「欧文フォント」ですが、
一方でまだまだ課題があります。
サインが持つ本来の意義は、「人を混乱させずに誘導する事」。
外国人のかたの観光客や移住者が増えた今、欧文フォントを読む人の立場に立って考えることが求められます。
スペースの都合でむやみに長体をかけるという利己的なふるまいをするのか、
視認性を優先して、スペース(基板)を広げる努力をするのか。
私たちサイン業界として、無視できない課題だと感じます。
〈詳しくはこちらへどうぞ:公共サインのフォント、世界の潮流とこれからの日本の課題〉
日本人のタイプディレクター、小林章さんの登壇の記事です。
4. まとめ
同じような見た目のフォントでも、細かな見え方が違うことがお分かり頂けたでしょうか。
これを機に、欧文フォントにも興味を持っていただけたら幸いです。
もう1つのお気に入りフォントは「DIN(ディン)」です。
すでに長体がかかっているかのようなフォントですが、スマートでモダンな印象も兼ね備えたかっこいいフォントです。
ドイツでつくられたフォントで、元々は工業製品の型番の表記に使用されていたそうですよ。